Apple Watch Hermès(エルメス)の「キリム・シンプルトゥール」を使い始めて、間もなく3年になります。革ではなくラバー素材(フルオロエラストマー)のバンドで、幾何学的なキリム柄の凹凸が特徴です。ちょうど3年という区切りなので、実際の使い心地と耐久性を残しておきたいと思います。
Appleがレザーバンドをやめた流れ
少し前提の話になりますが、Appleは2023年9月に、iPhoneケースやApple Watchバンドなどのアクセサリーで革の使用をやめる方針を発表しています。理由は、革が製品全体のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)に占める割合が大きいためで、環境保全の一環という位置づけです。代わりに「FineWoven」という再生素材ベースの繊維や、リサイクル素材を増やしたラバー系バンドへと移行が進みました。
その意味で、今回のキリムのようなフルオロエラストマー製のバンドは、これからのApple Watchを象徴する素材のひとつと言えます。革のような経年変化の味わいはない代わりに、水や汗に強く、環境負荷も抑えられているのが特徴となっています。
3年使ってみて:耐久性は優秀
結論から書くと、耐久性はまったく問題ありませんでした。毎日のように着けて3年近く経ちますが、ひび割れは一切なく、ちぎれそうな箇所もありません。
特に感心したのが、金属のDバックル(留め具)とフルオロエラストマーの接合部分です。この手のラバーバンドは、金属と樹脂のつなぎ目から裂けてくることが多いのですが、キリムの接合部は薄いつくりながら、まったくへたっていません。傷が入って破れそうになる気配もなく、この部分の作りはかなり優秀だと感じています。
もうひとつ地味に効いているのが、バンドが1本につながった「シングルトゥール」だという点です。以前使っていた2本に分かれるタイプのエルメスバンド(オレンジ)は、外したときに片方をなくしてしまったのですが、キリムは一続きのループなので、そもそも分解して落とすパーツがありません。着け外しでパーツを紛失する心配がないのは、長く付き合ううえで意外と大きなメリットでした。
溝の汚れと、色の変化
一方で、気になる点もいくつかあります。正直に書くと、最初の数ヶ月はこまめに拭いていたものの、その後は実質2年近く、ほとんど手入れをしていません。それでも出ている変化は、次の2つくらいでした。裏を返せば、放っておいてもこの程度で済んでいる、とも言えます。
ひとつは、キリム柄のカクカクした凹凸の部分に汚れがたまることです。表面がフラットなスポーツバンドと違い、溝がある分どうしても皮脂やホコリが入り込みます。2年近く拭いていない今はそれなりに汚れが溜まっていますが、水洗いで落とせる範囲なので、たまに手入れすれば気にならないレベルです。
もうひとつは、ブラックの色がごくわずかに白っぽく見える箇所が出てきたことです。そもそもエルメスのブラックは、同じ「ブラック」でも、エルメスではない普通のスポーツバンドの黒とはまるで違います。深く黒々とした密度のある黒で、並べてみると別の色に見えるほどです。そのぶん、わずかな白っぽさも目につきやすいのかもしれません。とはいえ全体的な退色というほどではなく、光の当たり方で気づく程度で、ひび割れや素材の劣化とは別の話です。機能面への影響もありません。
フルオロエラストマーという素材について
あらためて素材を調べてみると、キリムに使われているフルオロエラストマーは、スポーツバンドやNikeバンドと同じ、高耐久のシリコン系素材です。もともと熱・汗・油・溶剤への耐性が高く、工業用途にも使われる素材で、一般的なシリコンよりも長持ちするとされています。数年単位で使えるという評価も多く、今回の3年間の実感ともおおむね一致します。
革のように味が出るタイプではありませんが、「気を使わずに毎日着けて、汗をかいてもさっと洗える」という点では、日常使いにとても向いた素材だと感じています。
まとめ:3年経っても現役
キリム・シンプルトゥールを3年近く使ってみて、耐久性という点では十分に合格でした。溝の汚れやわずかな色の変化はあるものの、ひび割れや接合部の破れといった致命的な劣化はなく、まだまだ現役で使えそうです。
革をやめて環境配慮へと舵を切ったAppleの方針の中で、ラバー系バンドが実用面でどれくらい持つのか。ひとつの実例として、参考になればと思います。また時間が経ったら、その後の様子を書き足していきたいです。

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