価格:52,800円 / 素材:フルオロエラストマー(スイス製)
Series 9 と同時に登場した、フルオロエラストマー製の新作バンド。革ではないという一点で敬遠されがちですが、実際に着けてみると「エルメスモデルを買ったのにエルメスを着けていない」という矛盾を解いてくれる一本になっています。
開封して最初に気づくのは、箱の質感の変化

Series 7 のときのバンドはスウェード調の布に包まれていましたが、今回は和紙に近い風合いのものに変わっています。手で触れた感触はスウェードの方が上で、細かなところではありますが質感は一段落ち着いた印象となっています。
とはいえ中身を取り出すと、その印象はすぐに切り替わります。画像で見るよりも数段かっこよく、重厚感があります。
黒は真っ黒ではなく、ネイビーに寄っている
購入したのは黒ですが、完全な黒ではありません。2021年に発売されたミッドナイトのスポーツバンドと並べると、ネイビーに近い色であることが分かります。
編み込みを思わせる柄は、写真だけ見ると人によっては好みが分かれるかもしれません。実物は非常に綺麗な作りで、安っぽさは全く感じられない仕上がりとなっています。
Dバックルの機構は、これまでのものと同じ

すでにシンプルトゥール ディプロイアントバックルを使っている場合、機構そのものに違いはありません。並べて比べると、新品の方はツヤがあり傷もなく、2年使ったものとの差がはっきり出ます。
バンドの表と裏、そしてバックルにエルメスの刻印が入っています。スイス製の表記も確認できます。
着け心地は良好。ただし革のスルスル感には届かない

装着してみると締まりが非常に良く、日常的に着けるバンドとして完成度は高いと感じられます。
一方で、バックルを留めるときのパチンという感覚にはまだ慣れが必要でした。革のシンプルトゥールにあるスルスルとした通りの良さ、着けていて気持ちがいいという感覚については、やはり革に軍配が上がります。ここは使い込むうちに変わってくる可能性もあります。
通し輪はエルメス特有の構造。耐久性は気になるところ


手前の輪は動かず、もう一方は動くという、エルメスのバンドに共通する作りになっています。固定側といっても縫い止められているわけではなく、フルオロエラストマーの出っ張りで留めているだけなので、押し込めば奥へ動かすことは可能です。
この可動部と輪の周辺は負荷がかかりやすい場所です。手持ちの革のシンプルトゥールも、2年使ううちに輪の部分から相応の劣化が出てきています。ラバーになったことで耐久性がどう変わるかは、これから見ていく必要がありそうです。
いちばんの価値は、シルバーステンレスを選んだ人の悩みが解けること
Apple Watch Hermès をシルバーにするかブラックにするかで迷う人の理由の多くは、付属するスポーツバンドの色にあります。シルバーを選ぶとオレンジが付いてきますが、これは普段使いには使いどころが限られます。ブラックコーデに合わせれば映えるものの、ビジネスシーンを含めて年中着けるとなると難しさが残ります。
革は革で、もったいなくて日常的には使いにくいという問題があります。結果として、エルメスモデルを買ったのに普通のスポーツバンドばかり着けている、という状態に陥りがちでした。
キリムは、そこにシックな色で毎日使えるエルメス純正という選択肢を与えてくれます。ベルトもエルメス、文字盤もエルメスという最も満足度の高い形を、日常のなかで実現しやすくなったことが最大の変化となっています。
文字盤はラジアルとの相性が良い

同時に登場した新文字盤ラジアルは背景が黒のため、ブラックのキリムと組み合わせると全体が引き締まります。シルバーステンレスのケースと合わせると、洗練された印象にまとまります。
革でなければという前提を一度外せるなら、日常的にエルメスを着けていられるという一点で価値の大きい一本です。着け心地の気持ちよさそのものは革に譲るものの、使う頻度まで含めて考えると選ぶ理由が立ちます。
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